私は私だけのみかた

しかし真に利己的に行動することは尋常の知性では難しい。

その切り口から行っちゃうのかよ

非実在青少年という概念でなんかずっと驚きっぱなしなのである。まさかその方面からそんな展開になるとは!という意表を突かれたかたちなのだ。
私は、自然に生まれた生物の人間が成長して社会性を得た存在以外に人権が発生して人権問題になるようなケースとして古くからSFで書かれている以下のようなケースを想定していた。

  • 遺伝子工学の発達によって、人をベースに人以上の能力を持つものたちが出現し、社会的に彼らは人でないと迫害され、闘争の果てに人権を手に入れて人になる。
  • 遺伝子工学の発達によって、人でない生物をベースに人に類似の能力を持つものたちが出現し、社会的に彼らは劣等人類として奴隷扱いされ、闘争の果てに奴隷の身分から解放されて人になる。
  • ロボット工学の発達によって、電算機をベースに人以上の能力を持つものたちが出現し、社会的に彼らは非生物な被造物である故に奴隷扱いされ、闘争の果てに人権を手に入れて人になる。
  • 動物学/植物学の進展によって人が気づいていなかった高度な知能を持つ生物が日常の中から再発見され、闘争の果てにいままでの扱いから解放されて人になる。

いずれも、人と同様の意志・思考力を示した者が自発的に解放運動を起こすと思っていたのだ。
しかし、その想像を現実はひょいと飛び越えた。
なんと、思考力も意志も持っていない、それどころか物理的実体が紙の束だったりするような、人間が人間風のナニカを描写した「キャラクター」というものに、よりによってその「キャラクター」たちを不道徳で不潔で呪わしい消滅させたいと嫌っている人間から「あいつらは人間の子供であるから性的虐待から護れ」ととれてしまうような主張を通して人権らしきナニカを与えられようとしているようなのだ。少なくとも私にはそう感じられるのだ。


従来、「俺の嫁」などと呼ばれていたキャラクター達を性的虐待から護る方法は元の著作権者が禁じ、二次創作を訴訟で細かく差し止めていくしかなかった。もしキャラクターの創造主が性的なパロディに寛容であったなら、そのキャラクターが二次創作で陵辱され踏みにじられることも、性的に奔放に振る舞うことも、結婚して子供をもうけることも、誰にも止められないことだったのだ。
ところが、性的な表現自体を嫌うものどもが動くことによって、キャラクター達は性的な表現から護られる。彼らは性的な表現をつぶしているつもりかもしれないが、その行動は私にはこう感じられる。
綾波は生きているんです!普通は非実在ととられるかもしれませんが、確かに生きて暮らしているんです!彼女はひとりの女性としてレイプされたりセックスをあからさまに白日の下にさらされたりしないための権利を持っているんです!いくら業務上といえども大怪我をさせられた上で全裸に包帯ぐるぐる巻きの姿を衆目にさらされないだけの人権があるんです!なんといっても彼女はまだ中学生なんですよ!!!」
まあキャラクタの名前は自在に置換してくれたまえ。
私はあの条例はどうしてもそういうふうに見えてしまって、驚きあきれ戦く以外の行動があまり起こせないでいるのである。