私は私だけのみかた

しかし真に利己的に行動することは尋常の知性では難しい。

当事者の時代

「当事者」の時代 (光文社新書)

「当事者」の時代 (光文社新書)

優。
ちょっと前に読了。すばらしい。お値段以上の価値があった。ただ、タイトルが弱いので、あまり売れないんだろうなと思う。電子書籍版安いから買ってあげてくれ。
http://p.booklog.jp/book/47797

新聞やテレビがなんであんな変な報道ばっかりするのか。「市民」はなんで常にブサヨみたいな声として紹介されるのか。左の人はなんでああなのか。ハンディキャップのある人を障害者と記述すると障碍者ですよ!とツッコミを入れる人は何故ほとんどの場合ハンディキャップをもっていないのか。なのになんで僕の会ったことのある視覚障害者は平気で自分のことをめくらと呼び僕のことをめあきと呼んでいたのか。これらは僕が日常感じていた謎なのだが、この本は著者の事件記者時代のエピソードから始まって、するするとそういう謎が解けて行ってしまう凄い本なのである。
この本の問題点は、ものすごい勢いで盛り上げておいて最後なんの結論らしい結論も出さず、読者が何をすべきだという説得もせず、ただ現状を皿の上にのせて著者がすっと立ち去ってしまうところにあると思った。読者は滅び去った「戦後的価値観」文明の廃墟と荒野を前にして、呆然と見つめているほかにない。さあ開拓しようぜ、とすら言ってくれないのだ。
当事者として自分で立ち上がらなければいけないのは、なんとなくほんのりとわかるんだけれども、ね。