私は私だけのみかた

しかし真に利己的に行動することは尋常の知性では難しい。

吉野家の自動ドア

吉野家の自動ドアは「軽く触れてください」と書いてあるオレンジのマーク部分に触れて開ける。
しかし、私が開けようとするとすぐには開かないのである。軽く触れても開かないし指でぐいぐい押してもしばらく開かない。
そこでなぜ普通の人が「軽く触れ」ると開くのか考えた。自分と他の人の開けかたには何か違いがあるはずだ。
触れろと書いてある部分は単なるシールでとてもセンサーがありそうにもない。押したことによるガラスへの応力を四隅で検知しているとすると、力を入れて押していればすぐ開くはずだからその方式でもない。
牛丼を食べながら考えていると、何人か他の客が入ってきた。手元に注目していると、指を軽く曲げてそろえ、中指と薬指の爪でオレンジのマークに極めて軽く触れて開けている。
ここで私の開け方との大きな差に気がついた。私は人差し指をピンと伸ばして押していたのである。
鍵は、横方向の投影面積だ。
マークから横に目を動かしていくと自動ドアの柱部分にセンサーを見つけた。このセンサーは通常、ドアの左右足元付近に設置され、自動ドアに人がはさまれないようにする物である。これが手元付近に設置され、遮ると開く仕組みになっていたのだ。センサーが少なければ安くつくのでこれは合理的な発想である。
というわけで明日からは、ゆるく拳を握って中指の付け根でマークに触れるか、上からマークをさらっとなでて開くことにしようと思った。