私は私だけのみかた

しかし真に利己的に行動することは尋常の知性では難しい。

そうかっ

筆名の問題はつまり、「お前は誰だ」「あなたはそこにいますか」「私は誰だ」という点に帰着し、作家や一部のジャーナリストなど除いて従来パーソナリティを一つしか持たずにいた大量の一般人が複数の筆名に紐付く複数の人格のインスタンスを格納しはじめたという未曾有の事態が進行中であることに注目しているのはごくわずかな人間で――――自分の中に重なり合う複数の人格パターンや心を持った経験のない旧世代型人類と新世代型人類の間の断絶は「創作家の苦難」として簡単に片付けられていたものを噴出させる契機になり―――短時間で生まれては消える名無し人格と中期で消える場所限定の議論人格(MMO人格もこの類だ)と長期にわたって生き残るWEB人格や書籍作家マンガ作家人格と人体の成長に伴って使ってきた最長の古株の肉体に紐付いた人格(これは通常は実名のリアルの人格とされるわけだが)が全て並列動作しているのが人間であるにもかかわらずシングルプロセスシングルスレッドで動作するだけだった肉体人格しか持たない人間からすればこれは異常な状態であり、対人関係で消耗などが発生するのは対面コミュニケーション以外ではサブ人格であったりするわけでメイン人格の直接被弾という事態にはならず余裕を持って対処できる新世代に対する旧世代(もしくは成長途上の単人格者)の余裕のなさがこれである程度説明できるのではないかと今天から啓示が降って来たわけでありマルチスレッド人間を同様にあわてさせるには本体への直接攻撃が必須となるわけで家を押さえて「おやがかぎわたしや、もうだめぽ」まで追い込まなければ単人格人間のWEB上での痛みを感じることができないのであると私は悟った。