私は私だけのみかた

しかし真に利己的に行動することは尋常の知性では難しい。

次世代テレビの大失敗

http://d.hatena.ne.jp/Nob-Kodera/20070330
まあ色々な経緯があったんだろうけども、なぜ「フレームレートを可変にする」というのを規格に入れなかったのかね?*1映像の創り手・送り手の人もなんで声を上げなかったのかね?他にも「いまさらMpeg2」とか「なんでインターレース?もうふつープログレッシブの世界が来てほしいんだけど」とか「DRMうぜー」とかあるけど、せっかくの現在の技術を盛大に無駄にしている感じがする。定量的にしめせなくて申し訳ないですが。
テレビの規格を変えてよい、というのはものすごいことだと思うんだ。変えたら数十年は使うでしょ。それだけの覚悟があってできたものかと考えると、規格をニュースを通して横から見ているだけの自分からするとなんかいいかげんだなあと思うんだ。
いまの(SDの)テレビの規格というのはすごい良くできた代物なんだ。電気でできることが限られていて、CCDカメラやらCMOSカメラやらそんな便利なものは発想すらなくて、アナログしか技術はなくて、表示媒体はブラウン管しかありえないときに画像を伝送するにはどうすればよいかということが考え抜かれて創られていると思う。フレームレートが固定なのは各家庭に配る電化製品にレートの変更を行うこと自体が回路として辛かった時代だからだし、*2インターレースなのは輝点を動かしながら残像で絵を作る表示媒体があったときに、少ない転送量で、多くは取れない変調の速度で、なるべく速い動きのある映像を表現するための解だった。インターレースはテレビにメモリなんてないから、その代わりに目に残る残像をメモリに使ってる、ということでもある。視聴者の眼球もアナログテレビのシステムの一部なんだ。あと元々濃淡だけ送っていた電波の中に色差信号を詰め込んでカラーにするとか、人間の目の色解像度特性を考慮してカラー信号の周波数を落としてデータを減らすとかもそう。なんと美しい合理的な現実解を目指した技術なのだろうと思う。
でもさ、今回変わろうとしている新しいHDTVというものは、過去がこうなっていたからひきずってこうなっててー。綱引きの結果こうなってー。今の工場だとパネルが安く取れないからサイズが足りないけどとりあえず回路は1920x1080i受け取れるからハイビジョンでー。現場でフルHD撮れないからちょっとせまい1440の幅を広げてー。いやはじっこのほうは黒いままでもいいかー16対9の画面に12対9で出しちゃえ。720Pもあるんだっけじゃあ720を1080に引き伸ばしてー。
なにその、「まあこの先3年ぐらいしか見てませんよ後はどうなっても良い」的態度。あと3年じゃまだ停波しないっつーのアナログ。ピクセル単位で離散化量子化しちゃったものを伸び縮みさせることに躊躇しないとかマジおかしいから。狂ってるからそれは。いろんなところで補間のために演算しまくりっておかしいから。非可逆圧縮を圧縮して伸ばして圧縮して伸ばしてとかもおかしいから。やればやるほどもとのデータからずれるから。信号とかサンプリングとかちゃんと勉強してくれ。*3
まあ、ワイドテレビなんていうアスペクト比なにそれおいしいの的な狂気の産物が店頭で売れていた、なんてのを考えるとテレビなんてめちゃくちゃどーでも良い代物なのかもしれない。創るほうにとっても見るほうにとっても。そして結局俺が言いたいのはアニメを作った製作環境のままのPixelそのままで、そしてそのままのフレームレートで俺に見せてくれ、ということであるすみませんオタクで大変申し訳ありません今期もHDDがあふれるほど録画していますせっかくの美しい映像をアナログ伝送時に24Pから60iに変換した上ノイズののったアンテナで受信してちゃちいMPEG2ハードウェアエンコードで30Pにして6Mなんて低レートでぐちゃぐちゃに圧縮した上CMカットしてそのまま見たりQVGAにして外で見たりした上見終わったらH.264に再圧縮してHDDごと箪笥の奥とかにしまっちゃってます同一性が全く保持されてませんすみませんすみませんごめんなさい。

*1:レートを下げられれば伝送に余裕があるので隙間に何かしら詰め込めるしさ。一枚あたりの圧縮率を下げるのにだって使える

*2:高々15年ほど前ですら「PC98用のモニタがなんとデュアルスキャン!おおっ縦480ラインのプログレッシブ出たよ80ラインも多いよ!おおトリプルスキャン!マルチスキャンになったよすげー!」なんて時代だった

*3:といいつつ自分自身この辺の理解が甘い