私は私だけのみかた

しかし真に利己的に行動することは尋常の知性では難しい。

悪夢を見た

夢の中で、俺は十数人の従業員を抱える社長になっていた。零細企業でそこそこうまくまわっており、従業員は家族同然だった。アパートを借りると言う者がいたので保証人になった。母が病気になって入院費用が一時的に足りなくなった者がいたので金を貸した。小さな家を買うという者がいたので保証人になった。
全てが焦げ付いた。
十分に給料を出していると言うのに、アパートの家賃を払わない者がいた。大家に呼ばれて行ってみれば、家賃を払っていない部屋にはブランド物のバッグと靴と服が山と積まれ、サラ金からの借金が雪だるまで、札束のごとき量のクレジットカードの枠を使い切っていた。その中で小さな男の子がすさんだ目でカップラーメンをすすっていた。
入院費用を返さない者もいた。詳しく状況を聞いていたら突如泣き崩れたので何かと思えば病気は浪費癖であって入院などしておらず全て買い物とパチンコですってしまった、母をどうにかする方法はありませんかと相談された。
社屋が社長の住処だというのに、急に住宅ローンの回収が来た。ローンを1年前に一円も払わなくなってしまった従業員の分を保証人の社長から払って欲しいと言う。銀行ではなくて銀行系の信販会社で、銀行はもう債権をうっぱらっていた。信販会社は、家はもう競売にかけてしまったがあと千五百万足りないという。従業員に問い詰めたら麻雀でうっかりプロと握って大損したので払えなくなったため放っておいたという。
俺は激怒した。延々と説教をした。使うために金を借りる奴は死んでしまえ。金は増やす計画がなければ借りるものではない。お前はその高級バッグをどう使って金を儲けるつもりだったのか言ってみろ!金の使い方を知らん奴に金を渡すな。現物だけ渡して飢えさせろ。準禁治産者にしてしまえ。借金が払えなくなったのにお前はなぜ今の部屋の家賃が払えているのだ。本来の返済額でなくても少しでも払う意思を毎月見せておけば家を失わなかったんだぞ馬鹿者!早めに相談すれば少なくとも俺の手元には家が残ったものを!
馬鹿者!馬鹿者!馬鹿者!
通常業務を遂行しつつ従業員を借金取りの前で延々と殴りながら土下座させつつ自分も土下座して借金の返済計画を変更してもらったり社屋を抵当に入れて金を借りて借金を肩代わりしたり裁判に行ったり地元の議員に頭を下げにいったりしている激務の最中にタクシーの中で心臓麻痺を起こしたところで目が覚めた。

なんだかすごく疲れた…