隣人

どうやら隣の部屋に住んでいる男は日本人ではないらしい。
窓を開けっ放しで東南アジアな歌謡曲を鳴らしている。
携帯電話で謎の言葉で話している。こないだ来ていた彼女と、だろうか。

隣の部屋は入れ替わりが激しい。
冴えないおじいさんだったこともあった。
活発そうな青年だったことも。
飲兵衛の青年だったときはベランダの隙間から焼酎の瓶がいくつも転がってきて捨てるのが面倒だった。
いまの隣人はちょっと音量が大きいぐらいしか難点はないし、窓を閉めればほとんど音楽も聞こえないので壁の厚さが十分でありこちらの音もあまり伝わっていないだろうと確認できて良かった。

あ、もう一つ難点。
自炊している時間に部屋の前を通ると、果てしなく旨そうな香りがしてくる。これはいかん。